桜がきれいだなー!などと、浮かれていたら、寒さが身にしみた春祭りだった。
春の例大祭の時に、これほど見事に桜が残っているのは、俺が神楽師になって初めてだった。ベテランの先輩神楽師が言うにも、これだけ咲いているのは、2回目とのこと。
したがって、寒いのだ!これほど寒いのも初めてだった。舞台裏にはストーブが入れられ、なんとか暖をとってしのいでいるありさまだった。神楽殿自体は、吹きさらしの状態なので、寒さが身に染みてくる・・・
太鼓を叩いていても、普段と少し違った感覚で、不思議と腕に負担がかかる感じだった。
今回は、あり得ないようなミスが連発してしまい、囃子がそろわない場面もあったのだが、あれは、どう考えても、腑に落ちない状況だった。俺が叩いていても、変な感覚になって、間違うはずもないリズムを間違えてしまったり、という状況だった。
これは、勝手な解釈だが、寒さと桜の花の残り具合に何か関係しているのでは?と思っている次第だ。正直な話、普段だったら、身体に染み付いてるリズムなので、自然と出てくるのだが、今回は、ちょっとでも気を緩めると、「フーーーっと」何かポーっとしてしまう感じがした。今までにない、不思議な感覚だった。
それはそれとして、宵祭りでは新人の孝君が、おろち役でデビューを飾った!
夜にやる「おろち」は、迫力あってとても良かった。俺はスサノオ役で、おろちを退治するのだが、お面ごしに見えるおろちの姿は、結構怖いもんである。
本日は例大祭で、俺はなんと、初めての「とこひょ」役をする事になってしまったのだ。にんばというリズムに合わせて、コミカルに踊るひょっとこの踊りで、「稲荷山種蒔きの舞」という幕である。
これは、「お稲荷様が、天下って五穀の種を降ろすから・・・・・」と台詞入りで、二人のとこひょにお稲荷様の3人でのやりとりがあり、ようは、お稲荷様の田畑を耕して、作物を育て、それで餅をついて、観客の皆さんに餅を分けてあげるのだ。
この時ばかりは、自然と人が集まって来て、餅が無くなると、クモの子を散らす様に帰っていくのだ。神楽殿の上から、何かをもらえるというのは、相当興奮するもんなようで、大人から子どもまで、餅を拾いまくっている。
今までは、手力男の命、須佐之男命、猿田彦の命、蛭子の命、という様に偉い神様の役ばかりやってきたので、今回の「とこひょ」は、とても刺激的で、今までの自分の踊りの感覚にないものがあって、今後、楽しみが増えたなあ、という感じだ。
新しい事に挑戦するのは、刺激になって良いなあと思う。
無事に春の宵祭りと春の例大祭を終えることができたので、本当にありがたい事だと思う。